以前の記事でもお伝えしましたが、2014年に米国最高裁の判決が下されたAlice v. CLS Bank事件は、コンピューターを使用する特許クレームの権利行使に多大な影響を与えました。Alice事件では、米国特許法101条35項のもとでは、抽象的アイデアを単に一般的なコンピューターで実装するクレームは特許性がないと結論されました。この判例法を適用し、地裁訴訟において多くの被告がこのようなクレームを無効化することに成功しています。例えば、訴訟の初期の段階で、被告が規則12(b)(6)のもと、訴状却下申請、または規則12(c)のもと、答弁申請を行っています。以前お伝えしたように、米国特許法101条のもと、Alice判決を引用してクレームを無効化する成功率は現在約70%となっています。これらの申請の数が急増するのに対応し、テキサス東部地裁のRodney Gilstrap判事が101条にもとづく申請に関して、新しい手続き方法を定めました。
この新しい手続きの説明によると(リンクの4~5ページを参照)、裁判所によるクレーム解釈がまだなされていない場合、訴訟当事者が101条に基づく申請を提出する前に、Gilstrap判事の許可が必要となるということです。101条申請を行いたい当事者は、Gilstrap判事の典型的なブリーフィング過程の中で、その申請に対する正当な理由を説明せねばなりません。この過程では、まず申請者による5ページ以内のオープニング・ブリーフと、その14日以内に相手方が提出する5ページ以内の反論ブリーフ、さらにその5日以内に申請者が提出する3ページ以内の応答ブリーフが必要とされます。もしすでに裁判所によるクレーム解釈がなされている場合は、解釈決定の2週間以内に101条に基づく申請ができ、申請に対する裁判所の許可は不要です。
この新しい手続きは101条申請に大きな影響を与えることとなりそうです。これはGilstrap判事が現在、米国の特許訴訟件数を一番多く抱えている判事であることが理由です。彼は2014年には米国特許訴訟のうちの約2割を担当していました。