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連邦巡回裁判所がAkamai v. Limelight事件において直接侵害の範囲を広げる判決

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去年の11月24日アップのブログで、私は最近判決の下った米国最高裁の判決から派生した特許権行使に対抗する新しい武器についてお話しました。これらの判決には、誘発侵害に関するLimelight v. Akamai 判決も含まれています。この判決で、最高裁は米国特許法271条(b)のもとでの特許に関する誘発侵害は、同法271条(a)のもと、だれか単一の個人や団体が直接侵害をおかしていなければ成立しないとしました。最高裁はLimelight社による直接侵害の有無には触れず、引き続き審査を続けるよう、事件を下級審の連邦巡回裁判所(CAFC)に差し戻しました。

CAFCはその後、Akamai v. Limelight 訴訟の新しい判決を下しました。本訴訟においてCAFCは複数の個人、団体が一体となり機能している場合は直接侵害となりうるとし、直接侵害の範囲を広げる判決をしました。CAFCはサービス購入者が方法特許のうちのステップ(使用方法、メソード)を使用したとき、その購入者に特許となっているステップ(使用方法)を提供したものは以下の条件下では誘発侵害に問われるとしました。① 方法特許の中のステップを行ったサービス購入者がそのステップを行うことによって何らかのメリットを得、さらに ② サービス購入者によるそれらのステップの使用方法やタイミングを指定している場合。

結果として、ある会社や団体が自身の顧客に、それらを有効に使用するためには特定のステップを踏まねばならない製品やサービスを提供した場合、これらのステップを提供した会社、団体は米国特許法271条(a)のもとで直接侵害に問われる可能性があるということになります。

バックグラウンド

271条(a)のもと、直接侵害はある単一の人、団体が特許に記されている方法の全てのステップを行ったときに成立するとされています。CAFC のAkamai 判決以前は、以下の場合に侵害の被告が方法特許侵害を問われることとなっていました。(1)侵害の被告がサービス購入者の行動(パフォーマンス)をコントロールまたは指示し、(2)侵害の被告とサービス購入者が共同で活動を行う場合。特に、CAFCは侵害の被告が特許化されているメソードや方法をサービス購入者に提供するエージェントとして機能する場合は、その被告が直接侵害に問われるとしています。

この事件で、Akamai Technologies 社はLimelight Networks社がインターネットのコンテンツを配信する方法特許に対し直接侵害と誘発侵害をしたとして訴えました。公判において、Limelight社が「タグ付け」と「サービング」のステップを除いたAkamai社の方法特許のステップ全てを使用したことは議論の余地がありませんでした。ライムライト社は顧客がこのサービスを注文したのち、これらのステップを踏むように指示しています。陪審はLimelight社が議論の余地なく顧客を「コントロールまたは指示」したとして、Limelight社が侵害をおかしたと結論しました。陪審はAkamai社に4100万ドルの賠償金を与えると判決を下しました。

この公判ののち、CAFCは Muniauction 決定を公開しました。Muniauction 決定で、CAFCは、「「コントロールまたは支持」とは被告のサービスとその使用説明に代価を払うという単なる契約上の同意以上のものが必要である」としました。Limelight社とその顧客の関係性が、上記のような単なるサービスとその使用説明に代価を支払うという契約上のものにすぎなかったため、地裁は陪審の評決を無効にし、被告は法律問題上、侵害をおかしていないと判決しました。

Akamai 社はCAFCに控訴をし、CAFC は最初は地裁の決定(非侵害成立)をパネル判決(陪審員判決)で肯定しましたが、のちに米国特許法 271 条(a)のもとでは直接侵害が成立するかどうかに関わらず、米国特許法271条 (b) のもとで間接侵害に問われることは可能であると当初の決定を覆しました(侵害成立)。最高裁はこの控訴を受領し、271条(b)のもとでの間接侵害は271条 (a) のもとでの直接侵害が成立しない限り成立しないと判決しました。再審で、CAFC は上記の委員会決定をもう一度回復させ、地裁の非侵害の判決に同意しました。しかし約3ヶ月後、CAFC は最新の判決を下し、再びパネル判決を覆し、最初の陪審員判決(侵害成立)を回復させました。

上記パネル判決を覆す際、CAFCは271条(a)のもとでの侵害は以下の場合にも問われるとしました。① 特許となっているステップ(メソード)を行うことでそれを行ったものが何らかのメリットを得、② それらのステップの使用方法やタイミングを指定している場合。CAFCは公判で提出された証拠に触れ、これらの証拠は上記の2点を満たすのに十分であるとしました。特に、CAFCは ① Limelight社は自社の顧客がこのサービスを使用する際「タグ付け」や「サービング」を行うことを条件としていて、② Limelight社は自身の顧客にタグ付け」や「サービング」の使用ステップをガイドする技術説明プログラムを通して「「使用方法やタイミング」を指定していると判断しました。この判断にもとづき、CAFCは地裁の法律問題を理由とする非侵害の判決を覆し、上記陪審の侵害判決を回復させました。Limelight社がこのCAFCの判決に対して最高裁に控訴するかどうか、そして最高裁がその控訴を受け入れるかどうかはまだわかりません。

この判決の影響とまとめ

このAkamai事件の最新のCAFC判決はMuniauctionで説明された「コントロールまたは指示」の基準が本人対代理人、共同事業、または契約の約定に限らないことを明確に定義しました。特に興味深いのは、サービス購入者が特許化されているステップを契約のもとで行うことが義務付けられていない場合でも、サービス購入者がそれらのステップを使わないと購入したサービスを正しく使用できず、サービス提供者が購入者の「使用方法やタイミング」を規定しているという関係性自体が「コントロールまたは指示」基準を契約下で満たすことになるという解釈です。

さらに、この判決はこの「コントロールまたは指示」基準が本件の事実関係のようなシナリオに限定されないということも明確にしました。CAFCは「他の事実関係でのシナリオでも、サービス使用者によるステップ使用が単一の人、団体から派生していると特定することはできる」としました。

このCAFCの判決と、Limelight社の行動を詳細に分析したCAFCの傾向などから見てとれるのは、現在企業はサービス購入者にすでに特許化されている方法特許の全てのステップを使用するような指示をしないように細心の注意を払うことを念頭にいれなけばなりません。

この危険性を軽減するため、「ステップを使用せねばならないような条件」や「使用方法やタイミング」を規定するAkamai事件のようなシナリオを回避できるよう、サービス購入者との関係を単に再構築しようとする企業もあるかもしれませんが、このアプローチは少々短絡的です。なぜなら、CAFCは上記のように、Akamai事件のようなシナリオ意外の場合においても、方法特許のステップの全てが第三者によって行われた場合、その責任が単一の団体や人にあると見なすことは可能であるとしているからです。

 


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